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浮気慰謝料を請求できる6つの条件、相場の金額を解説

慰謝料を受け取る既婚女性

信じていたパートナーに浮気されたら「慰謝料請求したい」と考えるのも当然です。

ただし浮気されたからといって慰謝料が発生するとは限りません。
今回は浮気で慰謝料請求するための6つの条件や相場の金額を解説します。

夫や妻に浮気されて悔しい思いをされている方はぜひ参考にしてみてください。

浮気で慰謝料請求できる6つの条件

家系図

浮気されたとき、慰謝料請求するには以下の条件を満たさねばなりません。

結婚している

浮気で慰謝料が発生するためには、「夫婦」でなければなりません。
結婚していない交際中の男女の場合、浮気されても慰謝料は発生しません。

ただし婚姻届を提出していない「事実婚」であれば、浮気の慰謝料を請求できます。事実婚が成立するのは単に同棲しているだけではなく、お互いが婚姻の意思を持って家計を1つにして共同生活をしている場合です。

肉体関係がある

浮気慰謝料を請求するには、パートナーと浮気相手との間に「肉体関係」が必要です。
仲良く男女交際していても、プラトニックな関係であれば基本的に慰謝料は発生しません。
ただし肉体関係を厳密に証明できなくても、「社会常識から逸脱するほど親しく交際をして平穏な夫婦生活を送る権利を侵害した場合」には慰謝料が発生します。

なお肉体関係を証明できなかった場合の慰謝料は証明できた場合より低額になります。

肉体関係は任意である

浮気で慰謝料が発生するには、パートナーと浮気相手が「任意」に肉体関係を持たねばなりません。たとえば夫が女性に対して無理やり性関係を強要しても浮気や不倫にならず、相手女性へ慰謝料請求できません。

相手が「だまされていた」場合にも慰謝料請求は難しくなります。
たとえば夫が婚活アプリなどを使って女性と出会い「独身です」などと嘘をついて肉体関係を持った場合、相手女性へ慰謝料を請求しにくくなります。
ただし既婚者と気づかなかったことについて相手女性に過失(不注意)があれば、慰謝料請求できる可能性もあります。

婚姻関係が破綻していない

浮気前に夫婦関係が破綻していなかったことも必要条件です。
すでに夫婦関係が破綻している場合、別の異性と交際されても精神的苦痛を受けないと考えられます。
たとえば夫婦が別居している状態で妻が別の男性と肉体関係をもっても、夫は妻や相手男性に慰謝料請求できません。

ただし単身赴任の場合、夫婦関係が破綻しているとはいえません。単身赴任中にパートナーが浮気したら慰謝料請求できます。

時効が成立していない

慰謝料請求権には「時効」があり、浮気で慰謝料が発生したとしても時効が成立したら慰謝料は請求できなくなります。

浮気相手に対する慰謝料請求権の時効が成立する時期は、以下のいずれか早い方です。

  • 浮気の事実と浮気相手を知ってから3年
  • 浮気から20年

浮気が発覚して相手を知ったにもかかわらず3年以上放置していると、慰謝料請求できなくなるので、注意しましょう。

なお「浮気相手がわからない状態」では慰謝料の時効が進行しません。浮気が発覚しても浮気相手の調査に時間がかかった場合には、3年以上経過していても慰謝料請求できる可能性があります。

まだ十分な慰謝料を受け取っていない

浮気の慰謝料は、配偶者と浮気相手の両方へ請求できます。浮気慰謝料は法律的に「連帯債務」になるからです。
連帯債務とは、債務者全員が全額の支払いをしなければならないタイプの負債をいいます。浮気はパートナーと浮気相手が共同して行う不法行為なので、2人が連帯して慰謝料を払わねばなりません。

連帯債務の場合、どちらかが全額の支払いをすれば他方は支払いをしなくてよくなります。
債権者としても、全額の支払いを受けたなら他方へ請求できないのは当然です。
よってパートナーから十分な浮気慰謝料を受け取ったら、その後に浮気相手には慰謝料請求できなくなります。

たとえば夫が浮気して離婚するケースにおいて、夫から500万円の離婚慰謝料を受け取ったら、その後に浮気相手へさらに慰謝料を請求するのは難しいと考えましょう。

なおパートナーから慰謝料を受け取ったとしても、精神的苦痛を慰謝するのに不十分なら、別途浮気相手に慰謝料請求できる可能性もあります。十分な金額かどうかは個別事情に応じて判断する必要があるので、迷ったときには男女問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。

浮気で慰謝料請求できるケースのまとめ

結婚しているパートナーが異性と任意に肉体関係をもった

ただし時効が成立しておらず、浮気が始まった時点で夫婦関係が破綻していなかったことが条件となります。

風俗でも浮気になる

よく「風俗通いは本気ではないので浮気にならない」と考えている方がいますが、法律上は風俗通いでも「肉体関係」があれば浮気(不貞)になります。 不貞とは法律用語で浮気のことで、夫が風俗の女性と性関係を持っている事実を立証できれば慰謝料請求が可能です。

浮気で慰謝料請求できないケース

以下のような場合、浮気されても慰謝料請求できません。

  • パートナーとは結婚しておらず交際中
  • パートナーが異性と親しくしているが、肉体関係をもっていない、証明できない
  • 浮気されたことや浮気相手を知ってから3年以上経過してしまった
  • 夫が女性を騙して肉体関係をもった
  • 夫が女性に肉体関係を強制した
  • 浮気されたとき、すでに夫婦関係が冷めきって別居していた
  • パートナーと離婚するときに十分な浮気慰謝料を受け取った

肉体関係があるけれど証明できない場合

ベットで抱き合う男女

浮気で慰謝料が発生するには、パートナーと浮気相手との間に肉体関係が必要です。
しかし肉体関係を証明するのは簡単ではありません。「確実に男女関係になっているはずでも、明確な証拠がない」ケースが多いでしょう。

たとえば夫が女性とLINEで親しくやり取りをしていて深夜に出かけて行ったり休日に泊りがけでどこかにでかけたりしているけれど、「肉体関係」の証拠が手元にない場合など。

証拠が不足していると、浮気されても慰謝料請求が困難です。相手は「浮気していません」と否定してくるケースが多いためです。相手が嘘をついていても、肉体関係の証拠がなかったら責任追及できません。裁判を起こしても、肉体関係の証拠がなかったら負けてしまいます。

浮気で慰謝料請求するなら、必ず「肉体関係を証明できる証拠」を揃えましょう。

浮気の慰謝料請求で有効となる証拠

浮気で慰謝料請求するときにはどのような証拠を集めたらよいのでしょうか?
ひと言で「証拠」といっても内容はさまざまで、証明力の強い証拠と弱い証拠があります。

証明力の強い証拠

証明力の強い証拠となる条件は「肉体関係を直接的に証明できること」です。
肉体関係があれば高額な慰謝料が認められます。以下のようなものを集めましょう。

当事者が肉体関係を認める自認書

パートナーや浮気相手を追及して肉体関係を認めさせ、その場で「肉体関係をもちました」などと認める自認書を書かせたら、有効な証拠となります。
録音でも証拠にできます。

探偵の調査報告書

自分で肉体関係を証明できる証拠を探せない場合には、探偵に調査を依頼する方法を検討しましょう。探偵が相手に気づかれないように後をつけてホテルに入るところや浮気相手宅に宿泊するところを押さえたら、肉体関係の証拠を入手できるからです。
探偵に調査を依頼すると、調査結果をまとめた調査報告書が提出されます。報告書によって画像とテキストで相手方らの浮気の様子をしっかり押さえられるので、裁判になっても有効な証拠として使えます。

浮気の証拠集めに限界を感じたら、探偵事務所に相談してみてください。

証明力の弱い証拠

以下のようなものは浮気の証拠になりますが、証明力は低めです。単独では浮気を証明しにくいので、他の証拠も集めて合わせて浮気を推認させるものと考えましょう。

ただし上記のような証明力の弱い証拠でも、たくさん集めれば効果を発揮します。
万一肉体関係を証明できなくても「社会常識を逸脱した男女交際をして夫婦の平穏な生活を侵害した」と認められれば、低額でも慰謝料請求できる可能性があります。

浮気慰謝料を請求するなら、事前にできるだけ多くの証拠を手元に集めておきましょう。

浮気慰謝料の相場は?

浮気慰謝料のイメージ

浮気で慰謝料請求するとき「いくらを請求したらいいのかわからない」と悩んでしまうのではないでしょうか?

浮気慰謝料には法的な相場があるので、お知らせします。

夫婦が離婚するかどうかで金額が変わる

浮気慰謝料の相場金額は、夫婦が離婚するかどうかで変わります。
離婚する場合、被害者の受ける精神的苦痛が大きくなるので慰謝料額は上がります。
離婚せず夫婦関係をやり直す場合、精神的苦痛は小さいと考えられるので慰謝料額は低くなります。ただし離婚しなくても夫婦関係が破綻状態になって別居する場合などには比較的高額な慰謝料が認められやすい傾向があります。

夫婦が離婚、婚姻関係が破綻した場合の慰謝料額の相場は100~300万円程度です。
夫婦関係を修復した場合、慰謝料額の相場は100万円以下となります。

婚姻期間で金額が変わる

浮気で夫婦が離婚する場合でも、婚姻期間によって慰謝料額が変わります。 婚姻期間が長い場合、相手に裏切られたときの精神的苦痛が大きくなるので慰謝料は高額になります。

およその相場を示すと以下の通りです。

婚姻期間が1~3年

婚姻期間が1~3年程度の場合、浮気慰謝料の相場は100~150万円程度になります。

婚姻期間が3~10年

婚姻期間が3~10年程度の場合、浮気慰謝料の相場は150~300万円程度になります。婚姻期間が長くなるほど慰謝料額は増額される傾向があります。

婚姻期間が10年以上

婚姻期間が10年以上になると、慰謝料額は300万円やそれ以上になるケースが多数です。

浮気慰謝料が高額になる事情

同じ婚姻期間でも、以下のような事情があると高額な浮気慰謝料が認められやすくなります。

  • 浮気の回数が多い
  • 浮気した配偶者が夜中に出ていくなど、家庭生活に大きな影響を与えた
  • 浮気した配偶者が生活費を使い込んだ
  • 浮気した配偶者が家出した、浮気相手と同棲した
  • 浮気相手や浮気した妻が妊娠、中絶、出産した
  • 浮気した人の年齢や社会的地位、収入が高い、資産が多い
  • 浮気した当事者が反省していない
  • 浮気した配偶者が生活費を払わなくなった
  • 浮気した配偶者が暴力を振るった
  • 浮気された側がうつ病になった
  • 浮気された側が仕事を辞めた、専業主婦などで生活力がない
  • 未成年の子どもがいる、子どもが複数いる

自分たちで慰謝料額を決める場合

浮気の慰謝料には法的な相場がありますが、当事者が自分たちで話し合って慰謝料額を決めるときには相場にこだわる必要はありません。
両方が納得すれば自由に金額を決められます。
たとえば相手に資金的な余裕がある場合などには500万円やそれ以上の慰謝料額を定めても支払ってもらうことも可能です。

肉体関係を証明できなかったら慰謝料は低くなる

浮気で慰謝料請求するには、基本的に「肉体関係」の証拠が必要です。証明できなかった場合には慰謝料が認められても低額になり、50万円以下になるケースが多数です。

高額な浮気慰謝料を払わせるためのポイント

浮気の証拠を撮影する女性

浮気慰謝料を請求するとき、できるだけ高額な支払いをさせるためのポイントをご紹介します。

慰謝料の相場を知る

まずは浮気慰謝料の相場を把握しましょう。
相場を知らなければ、いくら請求してよいか判断できません。相手から減額を主張されたときにも、どこまで減額に応じてよいか正しく判断できないでしょう。不当に低い金額で妥協させられてしまうリスクも高くなります。

浮気の慰謝料請求をするまえに、個別事情を考慮して相場価額を調べておきましょう。

有効な証拠を集める

浮気で高額な慰謝料を支払わせるには証拠が必要です。
証拠がなかったら、相手は浮気を否定して逃げてしまう可能性が高くなるでしょう。
特に高額な慰謝料を求めるには「肉体関係を証明できる」証拠が必要です。メールやクレジットカード明細書などの証拠があっても、肉体関係がわからなければ証明力が低くなり、慰謝料を払ってもらえない可能性もあります。
相手方が言い逃れできないように、できるだけたくさんの肉体関係を証明できる証拠を集めておきましょう。

証拠集めは「相手に気づかれる前」に

浮気の証拠を集めるには、タイミングも重要です。
慰謝料請求通知を送ってしまったら、相手方らは警戒して会うのをやめてしまう可能性が高くなります。そうなったら探偵を雇ってもしっぽをつかめません。

有効な証拠を集めるため「相手に気づかれる前」に行動しましょう。浮気には気づいていないフリをして相手方らを泳がせて、その間に肉体関係を示す証拠を集めるようお勧めします。

粘り強く交渉する

高額な浮気慰謝料を獲得するには、粘り強く交渉する態度も要求されます。
浮気で慰謝料請求すると、大抵の場合には減額や分割払いを提案されるからです。安易に妥協すると条件的に不利になってしまい、低額な慰謝料しか払ってもらえません。

無茶をいっても通りませんが、相手が応じられるギリギリの範囲に落ち着かせられるように、交渉を継続しましょう。
自分で交渉するのが難しければ、弁護士に依頼する方法もあります。

公正証書を作成する

浮気慰謝料を確実に払わせるため、示談成立時には「公正証書」を作成するようお勧めします。
特に慰謝料が分割払いになる場合、必ず示談書を公正証書化しましょう。公正証書があれば、相手が途中で支払わなくなったときにすぐに給料や預金などを差し押さえて回収できるからです。もしも公正証書がなかったら、裁判を起こさないと慰謝料を回収できません。
相手に逃げられないように、多少の手間と費用をかけても示談成立時に公正証書を作成しておきましょう。

まとめ

浮気の慰謝料を請求するなら、まずは慰謝料が発生する条件を満たしているかどうかを検討しましょう。証拠集めも重要です。自分で肉体関係を証明できる証拠を入手するのが難しければ、相手に気づかれる前に探偵事務所へ相談してみましょう。