離婚を有利に進めるための必須知識とやるべきことを状況別に解説!
いったん「離婚したい」と思ったら「一刻も早く別れたい!」と思ってしまうものです。 しかし急ぐと損をしてしまう可能性があるので注意しましょう。有利な条件で離婚するには、慎重な対応が必要です。
今回は離婚を有利に進めるための必須知識や具体的なアクションを状況別にご紹介しますので、子どものいる方、熟年離婚を考えている方などこれから離婚を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
離婚を有利に進めるための知識
まずは離婚を有利に進めるために必要な知識を2つ、ご紹介します。
離婚の流れ
希望通りに離婚したいなら、「離婚の流れ」を知っておきましょう。
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STEP1 離婚の準備をする
離婚したいと思っても、いきなり相手に切り出すのはお勧めではありません。
まずはどういった条件で離婚したいのかを検討して整理しましょう。同時に財産調査や証拠集めをしておく必要があります。 -
STEP2 相手に離婚を切り出す
相手に離婚を切り出しましょう。相手が離婚を受け入れるなら離婚条件について話し合いができますが、相手が拒否するなら離婚に応じるように説得しなければなりません。 -
STEP3 別居する、話し合う
離婚前の別居は必須ではありませんが、状況によっては別居すべき場合もあります。
たとえば相手が離婚を強く拒否するなら別居して冷却期間をおいた方が良いでしょう。
暴力を振るわれたり喧嘩になって話し合いができなかったりする場合にも別居が推奨されます。 -
STEP4 離婚協議書を作成する
話し合いによって離婚することや離婚条件において合意できたら、離婚協議書を作成しましょう。
離婚協議書とは、話し合いによって決まった離婚条件を示す契約書のような書類です。
せっかく話し合って離婚条件を決めても書面がなかったら約束が守られない可能性が高くなってしまいます。
必ず書面を作成し、夫婦がそれぞれ署名押印して1通ずつ保有しましょう。 -
STEP5 離婚公正証書を作成する
離婚協議書は「公正証書」にするようお勧めします。公正証書があれば、相手が離婚後に約束通りの支払いをしないとき、すぐに給料や預貯金などを差し押さえられるからです。
もしも公正証書がなかったら、別途養育費の調停や財産分与の調停、慰謝料請求訴訟などをしなければなりません。
公正証書は公証役場に申し込めば作成してもらえるので、少し手間をかけてでも作成しておきましょう。 -
STEP6 離婚届を提出する
離婚協議書(離婚公正証書)ができたら、速やかに役所へ離婚届を提出しましょう。離婚届を提出した日が離婚日になります。
調停や訴訟
相手と話し合っても合意できない場合には、離婚調停を利用しなければ離婚できません。またDV案件などで相手と直接話し合うと危険な場合、協議をせずにすぐに別居して離婚調停を申し立てましょう。
離婚するとき、いきなり訴訟はできません。相手と対立していて話し合いの余地がなくても、まずは家庭裁判所で離婚調停を申し立ててください。
調停委員が調整してくれれば、たいていのケースで離婚できます。それでもどうしても離婚できない場合には調停が不成立となります。引き続いて家庭裁判所で離婚訴訟を起こしましょう。
訴訟で勝つには証拠が必要です。事前にしっかり検討して必要な資料を収集し、離婚に強い弁護士に対応を依頼しましょう。
離婚時に決めるべき条件
離婚を有利に進めるには、離婚時に定めるべき条件についての知識も必要です。
離婚するなら以下の6つの事項について取り決めをしましょう。
- 財産分与
- 慰謝料
- 年金分割
- 親権
- 養育費
- 面会交流
財産分与
財産分与は、婚姻中に形成した夫婦共有財産を分割することです。 以下のような財産が対象になります。
- 預貯金
- 不動産
- 車
- 保険
- 社内積立
- 株式、投資信託、債券
- 退職金
財産分与の割合は、基本的に夫婦で2分の1ずつです。収入格差がある場合や専業主婦の場合でも基本的には半分ずつにします。
ただし一方が特殊な才能や資格をもっていて著しく高い収入を得ている場合などには、財産分与割合が調整される可能性があります。
一般的なご夫婦であれば2分の1ずつに分けて問題ないでしょう。
慰謝料
離婚の際、夫婦の一方に「有責事由」があれば慰謝料が発生します。
有責事由とは「離婚原因を作った責任」です。たとえば以下のような場合に有責事由が認められます。
- 不倫した
- 暴力を振るった
- モラハラ行為をした
- 家出をした
- 生活費を払わなかった
慰謝料の金額はケースによって異なりますが、50~300万円程度になることが多いでしょう。ただし夫婦両方が合意すれば、相場より高額にしても低額にしてもかまいません。
相手に不倫された場合などにはきちんと慰謝料について取り決めましょう。
年金分割
夫婦のどちらかが「厚生年金」に加入しているなら年金分割についても取り決めましょう。
年金分割とは、婚姻中に払い込んだ年金保険料を夫婦で分け合う手続きです。離婚時に年金分割しておけば、将来支給される年金額が自動的に調整されます。
年金の少ない主婦などの方は受け取る年金が増えますし、年金の多い会社員などの方は年金を減額される可能性があります。
年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があり、合意分割をするには被分割者の合意が必要です。その際には年金分割の「割合」も決めなければなりません。
年金分割してもらいたい方は、離婚時に相手と話し合って年金分割の合意をしておきましょう。
【合意分割が必要な場合】
- 平成20年3月31日以前から婚姻している
- 相手の被扶養者になっていない
【3号分割となる場合】
平成20年4月1日以降のご夫婦で、一方が相手の被扶養者になっている場合には3号分割できるので、相手の合意は不要となります。
親権
未成年のお子さまがいるご夫婦が離婚するなら、必ず親権者を決めなければなりません。
離婚後、子どもの親権者になれるのは父母のどちらか一方だけです。
親権者になった親は子どもと一緒に暮らして子どもの財産を管理し、教育方針なども決定する権限を持ちます。
子どものためにどちらの親が親権者になるのが適切かしっかり検討し、決定しましょう。
養育費
子どもの養育費についても定めておく必要があります。
養育費は、基本的に毎月1回定額を支払います。裁判所が父母の収入状況に応じた相場の金額を設定しているので、参考にして決めると良いでしょう。
面会交流
離婚後のトラブルを避けるには、子どもとの面会交流方法も決めておくようお勧めします。
特に子どもが小さい場合、親同士がきちんと話し合って面会交流のルールを取り決めておくべきです。
たとえば月に1回午前中から午後にかけて面会するなど。宿泊を伴う面会も可能ですし、電話やLINEで連絡をとりあう方法もあります。状況に応じて面会交流の方法を定めておきましょう。
熟年離婚で重要な項目
婚姻歴が20年以上などの熟年離婚のケースでは、特に「離婚後のお金の問題」が重要です。
財産分与と年金分割に注目して証拠を集め、相手との交渉を進めましょう。
相手が不倫した場合などには慰謝料もしっかり請求すべきです。
子どもがいる場合に重要な項目
子どもがいるご夫婦であれば、親権や養育費、面会交流などの子どもに関する事項が重要です。
親権を獲得したいなら親権者として適切であることを示す証拠を集めましょう。養育費を確実に受け取るためには離婚協議書を公正証書にしておく必要があります。
離婚を有利に進めるためにやるべきこと
次に離婚を有利に進めるためにすべき行動をご紹介していきます。
証拠集め
有利な条件で離婚したいなら、証拠や資料集めが極めて重要です。 証拠がなかったら、財産分与も慰謝料も請求できない可能性が高くなってしまいますし、親権をとられてしまうリスクも発生するでしょう。
証拠を集めるタイミングは、「相手に離婚を切り出す前」です。離婚を切り出してしまったら相手が警戒するので、その前に集めておきましょう。
たとえば財産分与や不倫、DVによる慰謝料請求の際には、以下のような証拠が必要です。
財産分与で必要な資料
- 預貯金通帳のコピーや取引履歴
- 生命保険証書、生命保険会社からのお知らせ、解約返戻金証明書
- 車検証、中古車の相場がわかる資料
- 不動産全部事項証明書、固定資産評価証明書、固定資産税の納付書
- 証券会社や信託銀行から届いた株式関係の書類
- 相手の給与明細書
- 財形貯蓄の状況がわかる資料
不倫の証拠
- メールやLINEなどの記録
- SNSの記録
- 相手の日記
- スケジュール帳やスケジュールアプリの記録
- 性交渉していることがわかる動画や画像
- クレジットカードの明細書、ホテルやデート中の支払いに関する明細書
- 交通ICカードやETCカードの明細書
- スマホの通話明細書
- 探偵の調査報告書
不倫の証拠を集めるときには、できるだけ「肉体関係を示すもの」を集めましょう。
肉体関係がないと、慰謝料を払ってもらえない可能性が高まります。「不倫なんかしていない」「思い込み」「被害妄想」などといわれてしまうでしょう。
場合によっては肉体関係がなくても慰謝料請求できる可能性はありますが、性関係を立証できた場合と比べて大幅に慰謝料を減額されます。
メールやLINE、日記などを集めるときには、できるだけ「外泊」や「旅行」「ホテルに行った」「性交渉の感想」など男女関係があからさまにわかる部分を探してみてください。
DVの証拠
- 相手から殴られてできた傷の写真、動画
- 病院に行き、医師に作成してもらった診断書
- 周囲の証言を記録した陳述書
- 相手から殴られているときの動画や録音データ
必要な証拠は状況によっても異なります。迷ったときには以下でご紹介するように弁護士に相談してみてください。
事前の弁護士相談
離婚するなら、事前に弁護士に相談しておくようお勧めします。弁護士は法律の専門家であり日々多くの離婚案件を解決しているので、どういったケースでどのような問題が発生するのか熟知しているからです。
たとえば以下のような問題を抱えているとき、弁護士に相談すれば解決できる可能性が高くなるでしょう。
- 相手が財産を管理しておりこちらには詳細がわからないので、財産分与に不安がある
- 相手が離婚に応じてくれない可能性が高い
- 親権争いになりそう
- 相手が子どもを連れ去るかもしれない
- 子どもが大きくなるまできちんと養育費を払ってもらえるか不安
- 相手が不倫しているので高額な慰謝料を請求したい
- 慰謝料の証拠集めの方法を知りたい
- 年金分割のことがよくわからない
1人で悩んでいても解決できないので、早めに専門家の意見を確認してみてください。
無料相談を利用する
離婚前に弁護士に相談するといっても、「費用が高額になるのでは?」と心配になる方が多いでしょう。「いきなり法律事務所に連絡するのはハードルが高い」と感じる方も多いはずです。
そんなときには「無料相談」を利用してみましょう。今は弁護士の敷居が以前より随分下がっており、多くの法律事務所が「離婚の無料相談」を受け付けています。
無料相談であれば金銭的な支出はありませんし、無理に依頼を勧められることもありません。複数の弁護士事務所で無料相談を利用してさまざまな専門家の意見を比べることも可能です。
電話やオンラインで相談できる事務所も増えているので、一度ネットで無料相談できる事務所を探して申し込んでみてください。
状況別、離婚を有利に進めるための対応
ここからは、状況別に離婚を有利に進めるための対処方法をご紹介していきます。
財産を隠されたときの対応
財産分与で損をしないためには、相手による財産隠しを防がねばなりません。
財産を隠されると、隠し財産が「ないもの」として扱われるので、こちらが受け取れる財産額が目減りしてしまうからです。
財産隠しを防ぐため、事前に財産調査をしっかり行いましょう。
その上で調べきれない財産については、弁護士に調査してもらうようお勧めします。
弁護士であれば「弁護士法23条照会」という法律にもとづく調査ができるからです。相手名義の預金や証券会社との取引内容、保険契約内容などを明らかにできる可能性があります。
弁護士法23条照会を使っても不明な財産については、調停や訴訟の段階になった後に裁判所から調べてもらえるケースがあります。
「職権調査嘱託」という申立をすれば、必要に応じて裁判所が銀行預金などを照会してくれるのです。
ただすべての申立が受理されるわけではありません。素人では対応が難しくなるので、弁護士を代理人に立てて手続きを進めましょう。
親権を獲得したいときの対応
小さい子どもの親権をどうしても獲得したい場合には、子どもと離れないようにしなければなりません。離婚前に別居するケースにおいて、離婚時に子どもと同居していなければ、親権を獲得するのが非常に難しくなってしまいます。裁判所は「離婚時に子どもと同居している親」に親権を認める傾向があるからです。
相手と別居するなら、子どもを連れて行かれないように注意してください。もしも連れて行かれてしまったら、すぐに「子の引き渡し、監護者指定審判」を申し立てるべきです。1人では対応が困難なので弁護士に相談しましょう。
次に資料集めも大切です。これまで子どもとかかわってきた記録を集めましょう。たとえば母子手帳、保育園や幼稚園、小学校の連絡ノート、育児日記、写真などが必要です。
離婚後、子どもをどのような方針で養育していきたいのかなども考えておくとよいでしょう。
不倫の証拠を集めたいときの対応
相手が不倫している場合には必ず不倫の証拠を集めましょう。
とはいえ不倫の証拠集めは簡単ではありません。「肉体関係のわかるもの」が必要だからです。
またメールやLINEなどの証拠をとるときには、できるだけ「PCやスマホの画面を撮影」する方法で集めましょう。発信者と受信者、送信日時なども写るようにしてください。
転送する方法もありますが、「編集した」などと反論される可能性があります。
肉体関係を示す証拠を入手しにくい場合には尾行して浮気の現場を押さえる方法が有効です。ただし素人の方が自分で尾行すると失敗しやすいので注意しなければなりません。
写真やビデオもうまく撮影できず証拠化できないケースも多いですし、相手に気づかれてトラブルになったり、警戒されて二度と証拠を集めるチャンスがなくなってしまったりします。
相手を尾行して確実な浮気の証拠を入手するなら、最初からプロの探偵事務所に調査を依頼するのが得策といえるでしょう。探偵事務所であれば経験豊富な専門調査員が精度の高い機材を利用して浮気の現場を保存するスキルをもっています。相手に見つかってトラブルになる危険性も大きく低下します。
相手に不倫されてできるだけ高額な慰謝料を獲得したいなら、まずは浮気調査に強い探偵事務所に相談してみてください。
まとめ
有利に離婚するためには、正しい知識と適切な行動を要求されます。状況に応じた判断や対応も必要となるでしょう。困ったときには専門知識を持った弁護士に相談してみてください。
相手に浮気されている可能性があるなら慰謝料を請求すべきです。不倫の慰謝料請求には証拠集めが非常に重要なので、自分で集めるのに限界を感じたら浮気調査に強い探偵事務所に相談してみてください。