不倫で離婚! 損をしないためにするべき準備とは?
自分のパートナーが浮気していると知った時、大きなショックを受け、絶対に許せないという気持ちから離婚を決意する人もいるでしょう。しかし、感情に任せ、先走って別れ話を切り出してしまうのは考えものです。例えば、パートナーの不倫が原因で離婚する場合は、慰謝料を取ることができますが、きちんと準備をせずに離婚手続きに入ると慰謝料が請求できない時があります。また、夫婦の間に子供がいれば、親権問題をどうするかなど、あらかじめ考えておかなければならないことがいくつもあります。離婚で損をしたり、不利な状況になったりしないように、離婚の法律に関する知識や離婚する前にするべき準備についてお伝えするとともに、不倫したパートナーから離婚を切り出された場合の対処法もご紹介します。
離婚が認められる法的条件
通常、夫婦の合意があれば、離婚は認められます。しかし、夫婦の一方が離婚することを拒否したり、何らかの事情で話し合いができないような時は、簡単に離婚することができません。そのような場合は、裁判所に離婚の申し立てを行い、離婚の理由がもっともなものであることを認めてもらい、「離婚請求を受理する」という判決をもらわなければならないのです。法律上、認められている5種類の離婚理由、「法定離婚事由」について見ていきましょう。
不貞行為
不貞行為は、既婚者が配偶者以外の異性と自分の意志で性的関係を持つことで、一般的に「不倫」と呼ばれている行為のことです。日本の法律においては、結婚して夫婦になった者は、お互いに協力しながら生活を営まなければならないという義務を負うことになります。また、婚姻関係を結んでいる夫婦は、お互いに貞操を守らなければならないという義務も負います。そのため、不倫するというのはその義務に違反する不貞行為であり、婚姻を継続しがたい重大な事由(理由・原因)の一つになるのです。
パートナーが不倫したことによって夫婦関係が破たんした場合、パートナーに対して離婚の請求をすることが可能になり、不倫を裏づける証拠があれば、裁判でも離婚が認められやすくなります。同時に、その証拠があれば、パートナーに対して慰謝料を請求することもできます。
悪意の遺棄
民法では、「夫婦は同居し、互いに協力し、扶助しなければならない」として、互いに扶助義務を負うことを定めています。悪意の遺棄とは、特別な理由がないにもかかわらず、夫婦の共同生活を続けられなくなっても構わないという意志を持って、この同居・協力・扶助の義務を放棄することを指し、離婚の事由になります。具体的には、次のような行為が悪意の遺棄に当ります。
- 理由もなく同居を拒否する
- 互いの合意がないのに不倫相手と同居し始めた
- 日常的に家出を繰り返す
- 配偶者を家から閉め出し、帰宅できないようにする
- 収入があるのに生活費を渡さない
- 配偶者が病気で働けないのに医療費などを渡さない
ただし、単身赴任や病気の治療など正当な理由があり、夫婦がお互い合意の上で別居しているのであれば、悪意の遺棄とはなりません。
3年以上生死が不明
何らかの理由で配偶者の生死が3年以上確認できず、現在までその状況が続いている場合は、離婚事由になります。パートナーの生死もわからず、一緒に暮らすこともできないのであれば、婚姻関係を続ける意味がないからです。この場合の離婚条件として、パートナーが生死不明になった理由は何でもよく、生死不明になった原因についての過失も問われません。
例えば、夫婦喧嘩で「出て行け!」と言ったら、パートナーが出て行ってしまい、帰ってこなくなったというのでも構わないのです。ただし、単なる行方不明や音信不通で連絡が取れないというだけでは離婚事由にはならず、本人が死亡している可能性が相当程度あることが必要です。ですので、本人からは連絡がないが、知人には連絡があるとか、誰かがどこかで本人に会ったということであれば、離婚請求は認められません。
回復の見込みのない強度の精神病
配偶者が回復の見込みのない強度の精神病になった場合も、離婚請求が可能です。夫婦には、相互協力や扶助が義務付けられていますので、パートナーが精神病で苦しんでいる時も、支えあうのが原則ですが、意思の疎通も難しい状態で治る見込みもないようであれば、夫婦婦関係が継続できないと判断されるのです。しかし、離婚によって病気にかかっているパートナーの生活状況が極度に悪化する恐れがあるので、裁判所は安易に離婚を認めることはありません。
少なくとも、離婚してもパートナーの生活が破たんしないように、公的保護などを申請して療養できる環境を整えることや、療養のための資金を提供し続けることが保証されなければなりません。なお、離婚請求に当たっては、パートナーが強度の精神病であり、回復の見込みが無いことを、専門医の鑑定などによって証明する必要があります。
その他の夫婦生活を維持しがたい理由
上記の理由に当てはまらなくても、「夫婦関係を維持することが困難」と判断されるような事情があれば、離婚の事由として認められる場合があります。具体的には、以下のような事例です。
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性格の不一致
離婚の理由としてよく挙げられるのが、性格の不一致です。しかし、性格の不一致は、定義が難しいため、それだけで離婚の事由として裁判で認められることは少なく、性格の不一致により精神的に非常な苦痛を受けているなどの事実が明らかでなければなりません。 -
DVやモラハラ
近年、DVやモラハラが大きな社会問題になっており、裁判所も配偶者への暴力に対しては厳しい態度を取る傾向があります。DVによる怪我の写真や診断書などの証拠があれば、裁判でも離婚が認められやすくなります。 -
家事・育児に協力しない
共働き夫婦であるにも関わらず、一方が家事や育児に一切協力しないというケースがあります。それにより夫婦関係が破たん状態になっていれば、相互協力の義務違反として離婚が認められる場合が増えています。 -
怠惰や浪費
パートナーが、健康で働けるのに仕事に就かない場合や、ギャンブル依存症・買い物依存症になって浪費を繰り返し、多額の借金で生計が成り立たなくなっている場合は、離婚の事由になります。 -
性的不調和
セックスレスや異常な性的嗜好が、離婚の事由になることもあります。夫婦の一方が、理由もなく性的交渉を拒否し続けたり、パートナーが拒んでいるのにSM行為を強要したりするようなケースです。
不倫による離婚の手順
「不貞行為」が離婚の理由として認められることはわかりましたが、具体的にはどのようなものが不貞行為に当たるのでしょう? また、パートナーの不倫が不貞行為に相当するものだった場合、どんな段取りで離婚を進めていけばいいのでしょうか? 不倫の定義と、離婚方法について解説します。
不倫の定義
法律上は、「不倫」という用語はありません。しかし、一般的には「特定の相手と不貞行為を繰り返すこと」が不倫だと考えられています。不貞行為は、先ほどもお伝えした通り、「既婚者が配偶者以外の異性と自分の意志で性的関係を持つこと」です。従って、未婚の恋人が、他の異性と浮気しても、不貞行為や不倫には当たりません。また、浮気の範囲は、性的関係を持つことに始まり、キスしたり手をつないだり、プラトニックな関係もNGとするなど、人によって定義に幅がありますが、不倫・不貞行為の範囲はあくまで性的関係のみです。
そのため、不倫相手に対して愛情を持っているかどうかも関係ありません。ですので、風俗店で繰り返し性的サービスを受けるなど、愛情が絡まないケースでも、不貞行為を行ったとして離婚請求が認められる可能性があります。
離婚方法(1)協議離婚
日本で認められている離婚の方法には、「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「裁判離婚」の4つがありますが、そのうち最もポピュラーなのが協議離婚です。協議離婚とは、夫婦が話し合いをして離婚に合意する方法です。離婚することが決まったら、離婚届けに必要事項を書き込み、夫婦双方が署名押印をして、2人の証人に署名押印してもらい、市区町村役場に提出します。
協議離婚の場合、とりあえず子どもの親権についてだけ合意できていれば、離婚を成立させることができますが、実際には慰謝料や養育費、財産分与など、夫婦で話し合うべき項目は少なくありません。そのため、話し合いが不十分なまま離婚届を出してしまうと、後々トラブルになる可能性があるので注意が必要です。
離婚方法(2)調停離婚
夫婦の話し合いが上手くいかず、離婚の合意に至らなかった場合、家庭裁判所の調停手続きを利用して合意を目指す、離婚調停に進むことになります。離婚調停は、夫婦のどちらかの申し立てによってスタートし、家庭裁判所の調停委員を仲介役として、慰謝料や親権、養育費、財産分与などの条件を含めて意見のすり合わせを行います。申し立ての際には、調停申立書と戸籍謄本を提出することになっており、それに加えて離婚の経緯を記した陳述書を添えることもあります。
調停委員は夫婦双方の意見を基にして公正な判断を下し、話がまとまるように仲介をします。調停離婚のメリットは、夫婦が顔を合わせなくてもよいことで、お互い感情的になるのを避けることができますし、興奮したDVのパートナーから暴力を振るわれることもありません。
離婚方法(3)審判離婚
調停離婚の段取りが進み、あと一歩で合意ができるところまできているのに、何らかの事情があって決裂してしまいそうな時、裁判官が離婚の判断を下すのが審判離婚です。しかし、この方法が利用されることは、あまりありません。調停離婚が行われるのは、調停で重要な点について夫婦の意見がほとんど一致しているのに、わずかな食い違いで完全な合意に至らない場合や、当事者が外国人で本国に帰ってしまい、調停を成立させられない場合など、限られたケースだけだからです。
通常、夫婦の意見が対立するのは、財産分与や慰謝料、親権などの重要な点なので、そこが合意できていなければ審判離婚はできず、裁判離婚が選択されることになります。
離婚方法(4)裁判離婚
離婚を成立させるための最後の手段が、裁判離婚です。裁判離婚とは、離婚訴訟をして裁判所に離婚を認めてもらう方法で、陳述は行いますが、話し合いは行われません。また、離婚するに当って、最初から裁判離婚を選択することはできず、まず離婚調停を行って合意に至らなかった後に、夫婦のどちらかが離婚訴訟を起こすという手順で進みます。裁判が始まると、弁護士などの代理人が法廷に出廷して主張や立証を行い、それを基に裁判官が離婚の可否や離婚条件について判決を言い渡します。
ほとんどのケースでは、裁判がある程度進んだ段階で裁判官が双方に和解を提案し、和解が成立しなかった時に判決が下されることになります。なお、離婚裁判では、法律上の離婚事由がなかったり、離婚事由があってもその事実を立証できなかったりすると、離婚が認められない可能性があります。
不倫で離婚請求できないケース
法的な離婚原因になる不貞行為は、配偶者以外の異性と「継続的な肉体関係を持つこと」で、それによって夫婦関係が破たんした場合、離婚の請求ができます。継続的な肉体関係とは、1人または不特定多数の相手と繰り返し性行為を行うことですが、逆に言えば、継続的でなければ不貞行為とは見なされないということです。そのため、1度の不倫であれば、一時の過ちで起きたもので、夫婦関係の修復が可能と判断されて離婚請求が認められないケースもあります。また、継続的な肉体関係があったことが事実だったとしても、それを裏づける証拠がなければ、離婚請求は難しくなります。
一方、パートナーが継続的に不倫をしていても、それ以前から夫婦関係が破たんしていて、別居していたり離婚話が進んでいたりした場合は、不倫を理由とする離婚請求は認められません。判断のポイントとなるのが、パートナーの不倫が夫婦関係の破たんにつながったかどうかなので、不倫が離婚の原因とは見なされなくなるのです。
離婚の前にするべき準備
離婚の決意を固めても、それをパートナーに告げる前にやっておかなければならないことがたくさんあります。特に、不倫絡みの離婚の場合は、十分な準備が整っていないうちに離婚の意向に気づかれてしまうと、相手にうまく立ち回られて、交渉や裁判を有利に進められなくなる恐れもあります。離婚手続きに入る前にやっておくべきことと、手続きに入った時に夫婦で取り決めるべき項目について解説します。
不倫の証拠を集める
パートナーの不倫が原因で夫婦関係が破たんしたのなら、パートナーに対して離婚や慰謝料を請求することができます。しかし、裁判になった場合、請求をした者(権利を主張する側)が、その権利を根拠づける事実の立証責任を負うことになっているため、パートナーの不倫の証拠を自分で集めなければなりません。不倫の証拠となるものには、不倫相手との密会現場を撮った写真や、不倫相手とのメールのやり取り、会話を録音したデータ、ラブホテルの領収書などがありますが、特に大きな効力を持つのが、不倫相手とラブホテルに出入りするところを写真や動画に収めたものです。
しかし、それを手に入れるのは簡単ではありません。相手に気づかれないように何時間も尾行や張り込みをして、夜間に2人がホテルに出入りするシーンを鮮明に撮影するといった作業は、一般の人には至難の業です。探偵社などの不倫調査のプロを利用することも考えましょう。
離婚に当たっては、「財産分与」の請求をすることができます。財産分与とは、夫婦で築いた財産を分け合う制度のことです。この財産分与で、自分が受け取るべきものをちゃんと受け取るためには、夫婦で築いた財産がどれだけあるかを知っておかなければなりません。持ち家がある場合は、離婚時の評価額やローンの残債も把握しておく必要があるでしょう。
また、パートナーが隠し口座を持っていたり、貸金庫に財産を隠していたりすることもあります。通帳や銀行からの葉書をパートナーに気づかれないように事前にチェックしておき、いざとなったら裁判所に財産調査の申し立てをしましょう。
慰謝料
パートナーの不倫が原因で離婚することになったら、慰謝料について取り決めをします。慰謝料は、被害者が受けた精神的・肉体的苦痛に対して支払われる賠償金で、不倫の慰謝料の相場は数十万円~300万円程度と言われています。慰謝料は、パートナーと離婚しなくても請求することができますが、その際に認められる請求額は、離婚する場合に比べて少なくなるのが一般的です。慰謝料の金額は、結婚している期間の長さや、不倫期間の長さなどを含め、被害者が受けた苦痛が大きいほど高額になり、相場を超える請求額を認めた判例もあります。なお、慰謝料請求の時効は、不倫の事実や不倫相手の存在を知った時点から3年と定められており、それを過ぎると請求できなくなります。
財産分与
先ほど取り上げた財産分与は、結婚後に築いた夫婦の共有財産が対象となり、財産形成に対する夫婦それぞれの貢献度を加味して分配されます。共有財産の具体例は、貯金、不動産、有価証券、退職金、車、家具・家電など。不動産や車など、そのままでは分けることができない財産については、夫婦で話し合い、売却して現金に変えた上で分配する、あるいは鑑定士に算出してもらった時価に基づいて一方が現金を受け取る、といった取り決めをしなければなりません。また、ローンを払い終わっていない場合は、残りのローンをどうするかも決める必要があります。
さらに、財産だけではなく、年金についても「年金分割」によって双方が受け取ることができます。年金分割は、結婚期間中に、夫婦それぞれが納めた保険料に応じて自分の年金とすることができる制度です。ただし、この制度が適用されるのは、結婚期間中の厚生年金に対してだけですので、結婚する前の厚生年金に関してはもちろん、国民年金のみに加入していた場合も年金分割できません。
親権・戸籍
親権をどちらが取るかも、話し合うべき重要問題です。裁判になった場合、子供に対する親の監督・保護能力や、子供の年齢・兄弟姉妹の有無などを考慮し、「どちらを親権者にすればより子供の利益になるか」という観点から判断が下されますが、一般的には不倫した側の方が親権争いでは不利になります。また、離婚すると、夫婦のどちらかが旧姓に戻ることになり、それが親権者の方であれば、子供の苗字が変わります。ただし、結婚時の苗字を離婚後もそのまま使いたい場合は、離婚してから3カ月以内に役所に届け出をすれば、その苗字を名乗ることができます。
養育費
離婚しても、親には子供をきちんと育てる責任があります。そのため、親権者にならなかった方の親も、「自分の生活と同程度の生活」を子供ができるよう、衣食住や教育、医療などに必要な養育費を親権者に渡さなければなりません。支払期間は、原則的には子供が成人する20歳までになりますが、夫婦で合意すれば、例えば大学を卒業する22歳まで、といった形に変えることもできます。
金額についても、夫婦で話し合って取り決める必要がありますが、離婚後のお互いの収入を考えずに高額な養育費を設定すると、払いきれなくなる恐れもあります。裁判所が公表している養育費の算定表なども参考にしてみましょう。
面会交流
面会交流も後々トラブルになることがあるため、その条件についてしっかり取り決めておかなければなりません。面会交流とは、親権者でない方の親が、子供と定期的・継続的に面会したり、電話やメールなどで交流することです。面会交流権は、法律で定められた権利ですが、同時に「子供の利益を最優先に考慮しなければならない」とも規定されています。そのため、子供へのDVや連れ去りの危険性がある時は、面会が認められないのは当然ですが、親権者の私情が絡んで面会を拒まれてしまうケースもあります。ですので、離婚協議の際には、子供の幸せを第1に考えて冷静に話し合い、面会の場所や頻度などを取り決めなければなりません。
不倫したパートナーに離婚したいと言われたら
必ずしも不倫された側が不倫した側に離婚を要求するとは限りません。不倫相手に本気になってしまったパートナーが、逆に離婚を切り出してくるケースもあるのです。その時、自分が離婚を望まず、不倫相手からパートナーを取り戻したいと思っていたとしたら、どうすればいいのでしょう? パートナーからの離婚請求を阻止し、不倫相手を撃退する方法を紹介します。
冷静に離婚拒否の意志を伝える
パートナーから離婚を切り出された時、自分が離婚したくないと思っているなら、まずやるべきことは、「離婚には絶対に同意しない」と冷静に相手に伝えることです。協議離婚では、双方が署名押印した離婚届を役所に出すだけで成立してしまいます。パートナーは言葉巧みに丸め込んだり、威圧的な態度で離婚届に判を押させようとするかもしれませんが、一貫して拒否し続けなくてはいけません。また、パートナーは離婚協議で不利にならないよう、不倫していることを隠したまま、離婚を迫ってくる可能性も大いにあります。ですので、離婚する・しないの前に、パートナーが離婚したがっている本当の理由が何なのかを突き止める必要があります。
そしてその結果、不倫していることがわかっても、その場でパートナーを責め立てるようなことをしてはいけません。一方的に非難や不満の言葉をぶつけられると、パートナーの気持ちがますます離れていってしまうかも知れないからです。また、不倫に気づかれたことがわかると、パートナーが隠ぺいを図ろうとする恐れもあるので、確実な証拠を手に入れるまでは、あくまで慎重に行動することが大事です。
離婚届不受理申出書を出す
離婚を拒否すると、パートナーが勝手に離婚届を出してしまうこともあり得ます。もちろん、離婚届は夫婦双方が署名押印しなければならないものですが、離婚届を提出した役所では、筆跡や印影が本人のものであるかどうかまで確認するわけではなく、形式的な審査だけをして受理してしまいます。そこで、パートナーがそのような行動に出る危険性がある場合は、「離婚届の不受理申出書」を役所に提出しておきましょう。この申出書を出しておけば、申出をした本人以外が離婚届を提出しても、役所は受理しませんので、知らない間に離婚させられていたというような事態を防ぐことができます。
不倫相手に慰謝料を請求する
慰謝料は、パートナーだけでなく、不倫相手にも請求することができます。そして、パートナーへの請求と同様に、相手が支払いに応じなくても、不倫を裏づける証拠があれば、裁判で慰謝料を勝ち取ることができます。そのため、慰謝料の請求は不倫相手への制裁にもなると同時に、離婚の回避に役立つ場合もあります。もしかすると、パートナーは不倫相手に自分が結婚していることを教えていないかも知れませんし、不倫相手は奥さんを追い出してまでパートナーと結婚したいとは考えていないかも知れません。そんな相手が、いきなり慰謝料を請求されて奥さんの存在を知り、大きなショックを受けてパートナーとの関係を解消するということも十分あり得るのです。
慰謝料の請求は、直接相手に会って通知するのでも構いませんが、通知書を郵送した事実と通知書の内容を郵便局が証明してくれる「内容証明郵便」を使うのもいいでしょう。
別居は避ける
離婚で揉めた時、「お互い冷静になるためにいったん距離を置こう」と、別居を提案されるケースもよくありますが、安易に同意してしまうと、結果的に離婚に至る可能性が高くなります。別居することで、夫婦で話し合う機会がなくなり、気持ちがさらに離れてしまうリスクもありますし、不倫相手と暮らし始めてしまうかも知れません。また別居期間が長くなると、夫婦関係が破たんしていて修復の可能性がないと見なされかねず、最近では実際に長期の別居で離婚が認められるケースも出てきています。
これにより、別居期間を引き延ばして離婚せざるを得ない状況に追い込むという方法も使えるようになったため、できる限り同居し続けるようにしなければなりません。また、逆に自分がどうしても家から出ていかざるを得なくなった場合は、親権を取られないように、子供を連れて出ましょう。
円満調停の申し立て
夫婦が直接会って話すと冷静になれないような時は、円満調停(夫婦関係調整調停)を利用するのも一つの方法です。夫婦関係調整調停とは、裁判所の調停制度を利用して、夫婦関係をどうしたら維持できるのかを話し合うことができる制度で、パートナーから離婚を迫られている時だけでなく、家庭内別居を解消したいといったような目的でも利用できます。家庭裁判所に申し立てを行うと、月に1回、男女2名の調停委員が立ち会って、交互に夫婦の言い分を聞き、問題解決のための提案をしてくれます。「離婚したくない」という想いや理由を調停委員にしっかり伝えましょう。
裁判で勝つ
不倫などをして夫婦関係破たんの原因を作った側の配偶者を「有責配偶者」と呼びます。原因を作った張本人が離婚を要求するのはあまりに理不尽であるため、かつては有責配偶者からの離婚請求は認められませんでした。しかし、最近では、夫婦の別居生活が長期間にわたり、未成熟子(経済的に自立していない子供)がいないなどの要件を満たせば、請求が認められるケースも出てきました。
そこで、パートナーと離婚したくない場合は、先ほどもお伝えしたように、安易に別居しないことが重要です。また、パートナーが不倫を隠したまま離婚訴訟を起こすことも少なくありませんので、不倫の証拠を確実につかみ、裁判で請求をはねのけましょう。
まとめ
パートナーの不倫は、法律でも認められている離婚理由の一つです。そのため、ポイントを押さえて手続きを進めれば、いくら相手が拒んでも離婚や慰謝料を勝ち取ることができます。しかし、離婚しようとしていることを相手に知られて先手を打たれたり、不倫の証拠が十分に揃っていなかったりすると、交渉や裁判を有利に運べなくなってしまう危険性もあります。
浮気調査のプロの力なども借りて、相手に気づかれないうちに決定的な証拠を手に入れ、しっかりと準備を整えましょう。不倫の事実を明らかにする証拠があれば、不倫相手にも慰謝料を請求できるため、パートナーとの不倫関係を解消させるのにも役立つはずです。当サイトから探偵事務所を探して相談してみてはいかがでしょうか?