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不倫裁判で慰謝料請求できる?必要事項や流れを解説

不倫裁判に出廷する既婚女性

パートナーの不倫が発覚し、制裁のために慰謝料を請求する話はよく耳にするものです。しかし、それが裁判に発展したという実体験をせきららに語る人は少ないでしょう。そのため、パートナーの浮気を案じる既婚者の女性でも、不倫裁判について具体的なことは分からないという人も多いのではないのでしょうか? 

そこで今回は、不倫にまつわる裁判の疑問点についてお調べしました。裁判に必要な費用や時間、また訴えるメリットやデメリットまで解説します。パートナーの不倫問題でお悩みの方は、これを読んで裁判の全貌を把握しておきましょう。

不倫裁判って何?

不倫裁判の裁判官

不倫裁判とは文字通り、不倫を原因として起きた問題に対して、法律上の解決を求めて起こす裁判のことです。不倫をした配偶者や不倫相手への慰謝料請求について裁判所で審理し判決をくだします。日本では、法律上で夫婦と認められた男女は、互いに貞操を守りあうことが義務づけられています。これに対し、夫婦のどちらかが、配偶者以外の異性と自由な肉体関係を持つことを「不貞行為」とし、いわゆる「不倫関係にある」と見なされます。

そして、不倫によって受けた精神的ダメージへの損害賠償として支払われるのが「慰謝料」です。つまり、不倫裁判は、不倫の被害にあった配偶者が、慰謝料を求めて起こす裁判ということになります。ただし、不倫被害での慰謝料請求が全て裁判に発展するわけではりありません。ではどんなケースで裁判に持ち込むのか詳しく解説します。

相手が不倫を認めない

一般的に、不倫の慰謝料請求でいきなり裁判に持ち込まれることは少ないです。基本的には、不倫被害にあった側が、不倫をした当事者たちに対して書面や口頭で慰謝料を請求し、話し合いで解決する方法がとられます。両者の話し合いで問題解決に至れば、裁判のための労力を割いたり、費用負担したりする必要はありません。しかし、なかには慰謝料を請求しても、当事者が不貞行為を否定して話し合いに応じない場合もあります。不倫の慰謝料は不貞行為を原因とする賠償金ですから、当事者が肉体関係を認めなければ、交渉自体ができなくなってしまうのです。

このように、話し合いによる解決が望めないケースでは、交渉の最終手段として不倫裁判が行われます。また、当事者が不貞行為を認めていても、不誠実な態度で話し合い自体が難しいときも、やはり裁判が妥当となります。つまり、相手側の対応次第でまともに交渉ができないと判断された場合、直接的なやり取りを避けるために不倫裁判が行われるのです。

慰謝料の金額に合意できない

不倫の慰謝料金額には相場があるため、請求するときはその範囲内で交渉をするのが速やかな解決策です。しかし、不倫の当事者が慰謝料請求に応じても、金額の認識が合わなければ裁判に持ち込まざるを得ません。一般的に、被害者は相場に対して少しでも多くの賠償金を望み、支払う側は少しでも賠償額を抑えたいと思うものです。この両者の想定する慰謝料金額が、あまりにかけ離れてしまうと話し合いでは解決しない場合もあります。たとえば、「慰謝料額」に対して被害者の主張が300万、支払う側の主張は50万で互いに譲らなければ、話し合っても両者が納得する金額にはならないでしょう。

このようなケースでは、交渉しても合意に至らないため裁判に持ち込まれることが多いです。裁判になれば相応の費用が発生するのですから、話し合いの段階で慰謝料額を妥協し合うのが合理的な方法です。しかし、不倫問題には複雑な心理が働くため、話し合いだけでは解決しないことも多いのです。

裁判で慰謝料請求できないケースとは?

裁判で慰謝料請求できないケースの裁判官

不倫問題において難しいのは、不倫被害にあっても慰謝料を請求できないケースがあるということです。パートナーの不貞行為は事実でも、慰謝料請求が認められなければ苦しい状況に追い込まれてしまいます。法的手続きをとる段階でそのような落とし穴に落ちないために「慰謝料請求ができないケース」について解説します。慰謝料の請求を検討している人は、事前に状況を確認しておきましょう。

婚姻関係が破綻している場合

パートナーが不倫をするよりも前から夫婦の関係性が破綻している場合は、慰謝料請求の対象とは見なされない可能性が大きいです。そもそも不倫の慰謝料とは、不貞行為が原因で夫婦関係に被害が及び、平和的な婚姻生活が送れなくなったことへの賠償金です。しかし、夫婦の関係性がすでに修復不能な状態では、不倫が発覚しても不貞行為による被害だとは断言できないのです。したがって、慰謝料を請求するには、良好だった夫婦関係が不倫によって侵されたと主張できる状態が望ましいでしょう。すでに婚姻関係が破綻している状況での慰謝料請求は難しいです。

また、婚姻関係破綻の法的な定義はありませんが、夫婦としても義務は「同居」「協力」「扶助」と定められています。それらの義務を果たされていなければ、婚姻関係が破綻していると判断されてしまいます。具体的には「正当な理由のない長期間の別居」「DVやモラハラがある」「借金問題を抱えている」「健康なのに働かない」といった状態が関係性の破綻を意味します。夫婦の関係が日頃から良好であれば、それを証明できるものを確保しておくとよいでしょう。

法的に婚姻関係を結んでいない場合

法的に夫婦として認められていない男女の関係では、残念ながら不倫という定義は成立しません。そのため、たとえ同棲しているパートナーが浮気をしたとしても慰謝料を請求する権利は認められないのです。なぜなら、不倫の定義は、婚姻関係にある男女が配偶者以外の異性と肉体関係を持つこととされているからです。ただし、婚約をした男女や、事実婚(内縁関係)をしている男女に関しては、状況次第で不倫の定義が当てはまる場合もあります。事実婚の場合は、3年以上の共同生活を続けていて、周囲には夫婦として認知されている関係性などが挙げられます。

時効が成立している

不倫の慰謝料には時効があり、一定の期間を過ぎてしまうと請求権が消滅してしまいます。つまり、パートナーの不倫が確実で、証拠が揃っていても時効が成立している場合は慰謝料を請求することができません。したがって、不倫裁判はいつでも起こせるものではないのです。原則的に不倫の時効は不貞行為の事実が判明してから3年と決まっています。

たとえば、パートナーの不倫に気づいていながらも慰謝料請求を迷っているうちに3年が過ぎてしまえば請求権を失ってしまうのです。ただし、不倫には気づいていても相手が誰だか判明しなかった場合は、不倫相手の人物特定までの期間は時効が進行しません。たとえば、パートナーの不倫に気づいてから3年が経過しても4年目に不倫相手が特定できたといったケースなら時効成立とならないのです。一方で、不倫そのものに全く気が付かなかったという場合は、不貞行為があった時から20年で時効となることが定められています。期限のあるものですので、不倫の慰謝料請求は、できるだけ速やかに行ったほうが良いと言えるでしょう。

すでに配偶者から慰謝料を徴収済みである場合

不倫の慰謝料は、パートナーの不貞行為によって精神的な被害を受けたことへの賠償金です。その責任は、不倫をした当事者達2人にあり、パートナーと不倫相手は連帯して損害賠償の義務を負うことになります。また、1つの不倫に対して適切だと判断される賠償額には上限があり、それを超えた金額を請求しても認められることはありません。すでにパートナーから適切な慰謝料を受けとっている場合は、別途、不倫相手に慰謝料を請求すること難しくなります。

なぜなら、不倫被害への賠償はすでに済んでいるとみなされてしまうからです。仮に不倫相手への請求が認められたとしても、パートナーの支払った賠償額が差し引かれ慰謝料は減額される可能性が高いです。もしも不倫への制裁で相手女性に責任を負わせたいのなら、パートナーへの慰謝料請求を控えるなど、方針を整理しておく必要があります。

不倫相手に故意過失がなかった場合

パートナーの不貞行為を証明できても状況次第では、不倫相手に対して慰謝料請求ができないケースもあります。不倫はたしかに当事者2人の連帯責任です。しかし、不倫相手が責任を負うのは、相手に「故意や過失」があるときだけです。つまり、不倫相手がパートナーを既婚者だと知らずに関係を持った場合は、責任を負う義務はありません。この場合、相手は不倫をしているという認識を持たずに肉体関係に至ったのですから「故意」がないと判断できます。

たとえば、マッチングアプリなどで知り合い、パートナーが既婚であるという素性を隠したまま不貞行為に及んでいれば相手の女性の責任は問われません。ただし、あえて既婚者であるかどうかを聞かずに関係を持った場合は別です。たとえば、SNS上のプロフィールを見れば素性が明らかで、それを見たことがある場合には「過失」があるとみなされるでしょう。

このほか、相手にはその気がないのにパートナーが強引に肉体関係を強要していた場合などは、既婚者と認識していても「過失」があるとは認められません。したがって、不倫相手に慰謝料を請求するには、相手に「故意」もしくは「過失」がなければ成り立たないのです。

ダブル不倫の場合はデメリットもある

不倫相手に故意や過失があり、時効が迫っていないとなれば慰謝料請求の条件自体は整っています。しかし、不倫相手がパートナーと同じような既婚者であった場合は、慰謝料請求が無駄になる可能性も高いです。なぜなら、既婚者同士の不貞行為は、いわゆる「ダブル不倫」と言われます。もちろん、条件がそろっていれば慰謝料は請求できますが、その場合はパートナーも不倫相手の配偶者から訴えられる可能性が高いです。

すると、互いに賠償額を支払う結果となるので家庭としての利益は得られないと考えられます。さらに裁判まで発展すれば、新たに費用もかかり結果的には損失となりかねません。ダブル不倫が発覚したときは慰謝料請求について慎重に考えるべきです。

ただし、不倫の状況や被害の大きさによっては相手側の責任の方が重いと判断される場合もあります。こうなると相手よりも多く慰謝料を請求できる可能性が出てきます。ただこうした判断は、素人には難しいので弁護士に相談して決定するのが良いでしょう。

不倫裁判にかかる費用と期間

財布と既婚女性

慰謝料請求における裁判を検討していても、問題解決までに要する費用や期間が分からなければ、とまどってしまうはずです。また、いざ手続きをおこなったとき、高額な費用や期間の長さに尻込みしてしまっては勝機を失いかねません。裁判を起こすにはそれなりの費用が必要となりますので、おおまかな金額だけでも事前に把握しておくと良いでしょう。ここでは不倫裁判にかかる費用や期間を解説します。

裁判にかかる期間

一般的に、慰謝料問題を裁判まで発展させた場合、決着がつくまでの期間は1~2年が目安だと言われています。もちろん、実際には、不倫の状況や内容、また相手次第で期間は異なりますが、解決にはそれなりの時間がかかると思っていた方が良いでしょう。裁判がここまで時間を要する理由の一つは、裁判期日が1ヶ月~1ヶ月半に1回程度しか開かれないことにあります。裁判を始める準備にも1ヶ月ほどの時間が必要となることなども挙げられます。

もっとも、裁判になれば当人同士の間に裁判官の仲裁が入るため、判決が出る前に和解が成立することもあります。その場合は、6ヶ月程度で決着がつくことも珍しくありません。しかし、和解に至らず、判決によって決着をつけることになると裁判は長引きます。不倫はモラルに反する行為ですから、相手が反省していれば早期に決着がつきそうなものです。でも、不倫を過ちだと認めて心から反省しているのなら、裁判まで持ち込まれることはないはずですから、長引くのも仕方ないのかもしれませんね。

裁判で必要な費用

一般的に裁判には多額の費用が必要だというイメージがあります。しかし、実際は裁判によって相手を訴えるだけなら数万円程度の費用で済むのです。費用の主たる内訳は、訴訟を提起する際の手数料となる「印紙代」と手続きに必要な書類や資料を送付する「郵送料」となっています。ただし、これはあくまでも裁判を起こすために必要な経費であり、訴える相手との交渉を自分で行う場合に限ります。不倫裁判を有利に進めて早期に決着をつけるのであれば、交渉の代理人となる弁護士に依頼するのが妥当です。

不倫裁判における弁護士費用の相場は、おおむね40万~70万ほどです。費用の内訳は、弁護士が手続きにとりかかるための「着手金」、問題が解決した際に支払う「報酬金」、期日出頭の費用である「日当」などとなっています。したがって、裁判が高くつくとされる理由は、交渉に必要な弁護士費用が加算されることにあると言えます。となると、弁護士をつけずに裁判をおこなうのが費用を安く抑えるポイントだと考えてしまいますよね。不倫問題は民事裁判ですから、交渉は書面でのやり取りが中心となります。つまり、どれだけ的確な書面を作成し提出できるかが交渉の要となるのです。素人がそのような書面を作るのは困難を極めるため、やはり専門家である弁護士を頼るのが得策だと言えるでしょう。

不倫裁判によるメリットとデメリット

不倫裁判によるメリットとデメリットについて考える女性

不倫裁判にはそれなりの費用や期間が必要ですから、慰謝料問題を解決したくても話がまとまらない場合、裁判に持ち込むかどうか悩んでしまう人も多いでしょう。ここでは不倫問題を裁判で解決する場合のメリットやデメリットについてご紹介します。高い費用と時間を費やしてでも裁判に挑むのは大きな意味があるからなのです。

不倫被害を客観的に確定する

不倫は、平凡な家庭にも起こりうる一般的な夫婦問題ですが、その被害によって家族が抱える心的ストレスは甚大なものです。しかし、不倫が発覚したからといって、全ての人が素直に事実を認め、被害家族に謝罪するわけではりありません。それどころか、なかには不倫を否定したり、被害家族に責任転嫁したりする人までいるというのですから驚きます。不倫相手がそのような人物であった場合、すんなりと事実を認めて反省するという流れにはなりづらいです。

そうなれば、当人同士の交渉だけでは解決するのが難しく、そもそも話し合いすら行われない可能性もあります。しかし、不倫問題を裁判へ持ち込めば、事実が公となり当事者だけの話し合いでは済まなくなるのです。さらに不貞行為の証拠があれば、裁判所は不倫を事実として確定するでしょう。その結果、不倫相手が観念するというわけです。つまり、不倫裁判は、被害にあった人たちが泣き寝入りするのを防ぐためにも有効な手段なのです。

適正な慰謝料額を導き出せる

慰謝料額に、おおよその相場があることは先にも述べましたが、その金額に相手が同意するかどうかは定かではありません。被害にあった側が、相応の金額を請求しても相手側が拒否すれば交渉は決裂して解決への道は途絶えてしまいます。信じられないかもしれませんが、相手側が極端に低い金額しか払わないと主張するケースは多々あるのです。

そのような場合、不倫の被害に応じて適正な慰謝料額を導き出してくれるのが不倫裁判です。賠償額をしぶる相手との交渉に裁判所を介入して適正額による判決がくだされれば、相手側も認めざるを得ないでしょう。つまり不倫裁判は、被害者が慰謝料額で損をしないためにおこなわれるとも言えるのです。裁判所の決定する慰謝料額は、不倫の内容や状況などを審理した上で、類似するケースを基準として金額が定められます。

不倫相手への確実な責任追求ができる

個人間でのやり取りの場合、不倫相手に被害を訴え、慰謝料を請求しても相手が話し合いに応じなければ責任を追求する手段は絶たれてしまいます。相手が既婚者だと認識していながら肉体関係に及ぶ人は、そもそも責任感に欠ける可能性もあります。たとえ男性側の妻が目の前に現れようと、まともに取り合わず、内容証明でさえ無視する人も多いのです。

したがって、相手側が不誠実な対応で交渉もままならない場合は、裁判によって解決をはかるのが有効な手段だと言えます。また、裁判で提起された相手が、裁判所からの呼び出しに応じない場合は、被害者の主張をもとに判決がくだされることになります。そのような状況になれば、さすがに不倫相手も後悔せずにはいられないでしょう。

弁護士に依頼することで精神的負担が減る

不倫裁判で生じる最大のデメリットは、長期に渡って不倫相手と争うことによる精神的負担と、交渉を有利に進めるために必要な弁護士費用だと言えるでしょう。裁判には、それなりの時間と労力が必要となるため、思うように交渉が進まない場合は心的ストレスも計り知れません。すでに、パートナーの不貞行為で傷ついている心に、さらなるダメージを負うことになりかねないのです。

また、裁判によって発生する弁護士費用も、決して安くはないため、判決が下るまでは穏やかではいいられないかもしれません。しかし、不倫被害の責任を相手に追求できなければ悔しさを抱えて過ごすことになってしまいます。やはり、不倫問題をさっぱりときれいに清算して気持ちを切り替えるには慰謝料問題を解決するに限るのです。

敗訴しても費用はかかる

裁判には相応の費用がかかることは先にも記述しましたが、判決によって希望した慰謝料額が支払われれば、マイナスになる可能性は低いでしょう。しかし、裁判はかならずしも勝てるわけではありません。訴えた側の希望よりも慰謝料が減額される場合もあれば、そもそも支払い自体が認められなければ敗訴という形になってしまいます。そのようなケースでは、費用対効果が薄く裁判費用の方が大幅にかかってしまう可能性もあるのです。裁判を行う場合は、敗訴となるケースも想定しておかなければなりません。

不倫裁判のながれ

不倫裁判を担当する弁護士

裁判を起こすにあたり、段取りが分からなければ戸惑うこともあるでしょう。問題解決を急ぐなら、裁判の流れを知っておくことも大切です。効率よく交渉が勧められるよう不倫裁判の流れを確認しておきましょう。

訴状提出

裁判を起こすにあたって初めに行う手続きは、裁判所へ「訴状」を提出することです。訴状とは、訴えたい相手や事柄について記載した書類で、具体的には、請求相手の氏名や住所、不倫の状況、婚姻生活への被害、加害相手に要求したい内容などを詳細に記します。また、不貞行為の証拠があれば、この訴状と一緒に提出するのが一般的です。これらを提出することを「訴訟提起」といいます。裁判所がこの訴状を受け取ると被告(不倫相手やパートナー)に対して裁判所から「期日呼出状」「答弁書催告」が送付されます。これを持って、被告側が不倫問題について訴えられたことが解るのです。第一回目の口頭弁論期日は、訴状が提出されてからおおよそ1~2か月後に指定されることが多いです。ただし、訴状の内容が十分でない場合や訂正するべき箇所がある場合は期日も遅れる傾向にあります。

口頭弁論、弁論基準

裁判が始まると指定された期日に裁判所へ出廷し「口頭弁論」「弁論準備」が行われます。口頭弁論とは公開の法廷で原告(訴えた側)と被告が書面に基づいて主張を述べ、対応する裁判官が証拠などを折り調べることです。

弁論準備とは、内容自体は口頭弁論と変わりませんが、主張や証拠の整理を非公開でおこなう手続きです。こちらは法廷ではなく裁判所内の個室などが利用されるため、口頭弁論と違って畏まらずに主張ができるでしょう。一般的に裁判は初回の期日では終わらず、複数回繰り返されるケースがほとんどです。その理由は、原告側の主張に対して、被告側が何らかの反論をしてくることによります。

そもそも不倫裁判は、当事者間での話し合いだけでは解決しなかった結果の最終手段として持ち込まれるものです。そのような場合は、初回の弁論期日だけで話がまとまることは難しいでしょう。裁判所へ出廷しなければならない弁論期日ですが、弁護士を依頼していれば代理出廷が可能なので本人が行かなくても良いのです。

裁判所からの和解案

一般的に、被告・原告の主張や証拠が出そろうと、裁判所から「和解」を提案されることが多いです。和解とは、双方の主張に対して互いに妥協をして解決する手段です。最初に希望した慰謝料額が多少減額されても、裁判が長引くよりは精神的な負担が軽くなるため双方ともに和解に応じるケースも多いです。裁判所からの和解案を双方で受け入れた場合、合意内容をまとめた和解調書が作成されます。

これによって裁判は終了し、早期に解決することができるのです。また、和解案は判決と同じ効力があるため、相手がその内容に従わなければ財産の差し押さえをすることもできるのです。

証人尋問と本人尋問

裁判所からの提案があっても和解が叶わなかった場合、または徹底的に相手を追求したい場合は、証人尋問や本人尋問が行われます。尋問では、原告と被告が主張する内容について、書類だけでは不明瞭な点や矛盾が生じる箇所を口頭にて直接確認します。その返答をもとに、どちらの主張が正しいのかを判断するための機会が設けられるのです。

この証人尋問や本人尋問、さらには提出された証拠にもとづき、裁判所が最終的にくだす決断が「判決」となり裁判が終了します。判決は法的拘束力があるため、原告・被告ともに、これに従わなければなりません。この判決に納得できない場合は、判決が言い渡されてから2週間以内であれば控訴することができるのです。

裁判で勝利を収めるポイントとは?

不貞行為の証拠

慰謝料問題を裁判まで発展させるということは、それ以前の段階で不倫をした当事者との合意が得られなかったというケースが多いでしょう。つまり、裁判に進む前からある程度の時間と労力が費やされていることになります。最終手段の裁判で勝利を収めるためには以下のポイントを抑えておくと良いでしょう。

証拠の確保

裁判を有利に進めるために欠かせないのが「不貞行為の証拠」です。とくに、相手が事実を否定している場合は、証拠こそが最も重要な切り札となるでしょう。基本的に、裁判では、原告側がどれだけ被害を訴えても立証することができなければ被害は認められません。したがって、不倫問題の責任を相手に追求するには、必ず証拠を確保しなければならないのです。

実際の裁判で使われる不倫の証拠には、当事者が不倫を自白した書面や、当事者2人が同時にラブホテルに出入りする写真などが多いです。しかし、相手が非を認めて自白しない限り、これらの証拠を素人が確保するのは難しいです。そのため、不貞行為の確実な証拠を確保するのなら、調査のプロである探偵事務所に相談するのが得策だと言えます。

慰謝料の相場と金額を増減させる事情

一般的な不倫の慰謝料額は100万から300万が相場だと言われています。基本的には、この範囲のなかで、不倫の内容や、子供の有無、不倫による実害の程度などを考慮したうえで金額が決定されます。婚姻期間が長い、不倫相手が悪質である、不倫期間が長い、不倫によって心の病気が発症した、などのケースは慰謝料が増額される傾向にあります。それに対し、被害者側に配偶者を浮気に走らせる落ち度があったと判断されるケースでは減額される可能性もあります。

早めに和解を得ることも大切

パートナーの不倫相手に対する慰謝料請求裁判は、どうしても感情的になってしまう傾向が強いです。個人間の話し合いで解決できなかった結果が裁判となっているわけですから、徹底的に相手を追求したいのは無理もありません。しかし、ある程度妥協する余裕をもって裁判に望めば、早期解決する可能性もあります。裁判所では、双方の主張がかけ離れているとき、和解案が提案されます。その場合は、早期に決着をつける意味でも感情を押し込めて和解案を受け入れることも視野に入れましょう。

まとめ

凡庸な日常生活を送る既婚女性にとって、「不倫裁判」というキーワードは、現実味に欠ける言葉かもしれません。しかし、既婚者の不倫は珍しいことではなく、発覚すれば慰謝料請求に及ぶことが容易に予測できる現代では、不倫問題が裁判に発展する事案も特別なことではありません。もしもに備えて不倫裁判の知識をつけておくことは、既婚女性の嗜みとも言えるでしょう。

また、パートナーに浮気疑惑があり、その対処法に悩んでいるときは事実を明らかにすることが問題解決の鍵となります。慰謝料請求で不倫相手を打ち負かすには、法的手続きに精通していることが秘訣だと言えるでしょう。そして、法的手続きを有利に進めるには、確かな証拠をつかむことがポイントです。浮気調査が得意な探偵事務所に相談してみるのもいいでしょう。